タオルの二大産地「今治と泉州、どう違う?」

毎日使うタオルにこだわるなら、知っておきたいのが日本の二大産地。愛媛県の今治(いまばり)と大阪府の泉州(せんしゅう)です。
「今治」と「泉州」の違いについて深掘りしたいのですが、そもそも日本にはなぜこの二大産地ができたのでしょうか?

この二つは、日本のタオル産業を牽引してきた歴史ある産地です。それぞれ異なる製法と地理的条件から、独自の進化を遂げてきました。最も大きな違いは、「タオルを織り上げた後、いつ不純物を取り除くか」という製法の違いにあります。

製法ですか。具体的にどう違うのですか?

はい。綿糸は織機で織りやすくするために、デンプン質の「糊(のり)」でコーティングされています。この糊を落とす工程を「晒(さらし)」と言うのですが、これが製法の分かれ道になります。

今治タオルでは、糸の状態で糊を落とす先晒し製法を用いています。特徴しては、糸が柔らかいため、織るのが難しく、熟練の技術が必要となりますが、糊が完全に落ちるため、新品から抜群の吸水性を発揮します。肌触りは柔らかく、しっとりとした風合いになります。

泉州タオルでは、織り上がったタオル生地の状態で糊を落とす後晒し製法を用いています。タオル全体を丸ごと洗うため、清潔で吸水性に優れる。江戸時代から続く伝統的な製法となります。さらっとしていてさっぱりとした肌触りになります。

なるほど。泉州タオルの「後晒し」は、タオルが完成してから初めて洗う、ということですね。

その通りです。だから泉州タオルは「使い始めに洗わなくても使える」と言われるほど、清潔感と吸水性に優れているんです。一方、今治は「先晒し」で糸の段階で糊を落としてしまうため、非常に柔らかく、ふんわりした風合いが特徴です。

今治タオルといえば、有名な「5秒ルール」がありますが、これはどういった基準なのですか?

5秒ルールは、「タオル片を水に浮かべたとき、5秒以内に沈み始める」という今治タオル独自の厳しい品質基準のことです。

たった5秒!なぜそこまで吸水性にこだわるのですか?

これは、今治の地理的条件と関係があります。今治は古くからタオルの生産が盛んでしたが、最大の特徴は「四国山脈の伏流水」という非常に不純物の少ない軟水に恵まれていることです。この良質な水のおかげで、糊や染料を完全に洗い流すことができ、綿本来の持つ優れた吸水性を最大限に引き出すことができたんです。つまり、5秒ルールは「水が良いからこそできる品質保証」と言えます。

泉州タオルにも、今治のような独自の基準はあるのでしょうか?

泉州タオルには、地域の基準として明確な「〇秒ルール」はありませんが、前述の「後晒し」という製法そのものが、「タオルは清潔で、糊気を残らず、すぐ使えるべき」という品質基準を満たしています。泉州は古くから大阪の商業地として栄えたため、「実用性」と「清潔さ」を重視する文化が根付いています。

結局、消費者はこの二つをどう使い分ければ良いでしょうか?

シンプルに言えば、肌触り重視なら今治、実用性と清潔さ重視なら泉州です。
例えば、今治だとバスタイム後のリラックスや、赤ちゃんへの使用など、「肌触りの優しさや贅沢な風合い」を求めるシーンにおすすめです。泉州だとキッチンや洗面所、業務用など、「ガシガシ使って清潔に保ちたい」という実用性重視のシーンに最適です。

そして、忘れてはいけないのが、ギフトや販促品としての価値です。どちらの産地も高い品質を誇ります。企業ノベルティや記念品にする際は、「デザイン」や「名入れ」といった要素で、タオルの付加価値を伝えてみてください。上質なタオルは、受け取った人の満足度も高いはずです。

タオルの選び方が、一気に奥深くなりました!今回もありがとうございました!

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